生命を創ることができるか
ダーウィンが進化論を唱えた頃は、腐った肉に蛆が簡単に発生するように、単純な生物は容易に発生すると単純に考えられていました。それを否定したのが、ルイ・パスツールの有名な実験です。試験管を熱することで、蛆が発生しないことを彼は証明しました。
現在のすさまじい科学の発達をもってしても、試験管内で生命を創ることは絶対にできません。ですから、本当にこのように精巧きわまる生命体が自然に発生したとは、科学的に証明できません。
例えば原始地球下に似せた環境を実験で造り、あるアミノ酸を偶然自然発生させることは可能ですが、これらはラセミ体と呼ばれ、光学的に左旋性と右旋性のもの(鏡像)とが半分混じったもので、これでは生命は発生しません。生命は左旋性のみですから、アミノ酸が蛋白質を創る時にすべてが偶然に左旋性になっていたと想像することは難しいでしょう。タンパク質を構成するために20種類のアミノ酸が正しい配列で並ぶ必要があり、その可能性は限りなくゼロに近いのです。もしアミノ酸が過去に地球に自然発生したとしても、余りにも濃度が薄過ぎるし、熱や酸などにも弱いし、アミノ酸が正しい配列で並ぶように強力に導く因子も見つかりません。
実は生命が自然発生するのは途方もないほど困難なのです。科学者として著名なカール・セーガン博士は生命が自然発生する確率はゼロが20億続く数字に1つの確率だと言いました。
DNA構造の発見で1962年にノーベル医学・生理学賞を受賞したフランシス・クリック博士は、「正直なところ、現在の知識を動員して言えることは、生命誕生のために満たされるべき条件が非常に多いため、現時点では生命の起源はまず奇跡としか思えない、ということだ」(フランシス・クリック「生命 この宇宙なるもの」新思索社、88頁、2005)と言います。
進化論は生命が偶然に発生することを証明できていません。生命は生命からのみ来るのです。