牧師便り

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聖書が語る健康メッセージ 医学博士・米国公衆衛生学博士 水上 治
生命の最小単位 - 細胞

長年医師として働いてきましたが、いつも感じるのは、生命現象の不思議さです。人体の生理を知れば知るほど、あまりにその機能がすばらしいのに感嘆せざるを得ません。生命の最小単位は、言うまでもなく細胞です。

我々は誰でも最初は1個の受精卵から発生し、倍に増え続け、胎児となり、誕生に至る様は、奇跡的としか言いようがありません。出生後も成長し続けて大人になると、ついには60兆個の細胞になります。これは想像を絶する数で、世界人口ですら数十億です。細胞1個は1mmの1/100程度の大きさですから、もし全細胞をつなげたら、その60兆倍、60万kmに達します。すなわち地球15周分になりますから、我々が一生かかっても歩けないであろう距離です。

1個の細胞には、1個の核・ミトコンドリア・クロロプラスト・小胞体・ゴルジ装置・リソソーム・ペルオキシソーム・細胞膜細胞等が存在し、それぞれが、実に複雑な働きを保ちながら、ネットワークを組み、生命を維持しています。現実にはこれらの働きの解明はごく一部のみです。ましてや生命を創るなど、夢のまた夢です。

1個の受精卵は遂には200種類ほどの分化した神経細胞や胃粘膜細胞など、60兆の細胞に成長します。分化を起こすエネルギーは何なのかは解明されていません。分化した細胞の見事な多様性に驚きます。人体は、これらの分化した細胞の組み合わせによって、消化・吸収・呼吸・循環・神経・内分泌・生殖・出産・傷の治癒・免疫作用など、無数の機能を発揮します。人体は実にうまくできていると思いませんか。しかも60兆の細胞が喧嘩せず、調和を保ちながら、精密に、ネットワークを組んで働いています。精巧な働きがすべての細胞で刻々起きているのは、奇跡的ではありませんか。


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