なぜ我々には理性があるのでしょうか。考えてみれば、我々は日々刻々基本的に自分なりの理性でものを考えて判断し選択しています。理性という基準がなければ、思考は混沌に陥るだけです。もちろん動物には理性はありません。

「理性は、目的なく、目標なき世界、物質的微粒子もしくは物質的精力の集合にすぎないものが、目的とその目的を達するために必要な洞察力、目的、目標を形造ることのできる功利的知能をうみだし得ないことを肯定している」

Ｗ・Ｔ・パーカイザー、キリスト教信仰の探求、５０頁

「人間精神は無から生じたのではない。超自然から自然の中へ入ってきたのだ。つまり、それは、われわれが神と呼ぶ永遠的、自立的、理性的存在の内に直根を持っているのである。各個人の精神は横枝であり、超自然的実在が自然の中に侵入するその最前線である。」

奇跡-信仰の論理、Ｃ・Ｓ・ルイス、４３頁

もし進化論が正しいのであれば、人間に理性があることを説明できません。自然淘汰では、食物を獲得し危険を回避するなどで生き延びることが人間を進化させてきたと考えますが、そこには理性は不要です。猿と人間は、理性があるなしで、大きな距離と言うよりも、隔絶があります。理性が長い年月をかけて勝手に存在するようになったという考え方は、全く理性的ではないし、誰をも説得できません。

神が存在しないと信じること自体、理性によります。しかし、理性が存在することを説明するためには、理性的な神が存在するのだ、と言う説明以外に説明のしようがないのです。

理性の背景に神が存在します。理性は神が与えて下さったありがたいことです。我々は理性によって、神への信仰を持つことができます。理性があることに感謝するしかありません。