久保 司 牧師

親と子  :  久保 司 牧師
 

見よ、子らは主からいただく嗣業、胎の実りは報い

旧約聖書 詩篇127篇3節(新共同訳)

「嗣業」という言葉には「受け継ぐ」という意味があります。つまり、子どもは神様から受け継いだ存在ということです。そこには「責任」が伴います。
長男が産まれて間もない頃、「親業」の講座を受ける機会が与えられました。初めての子ども、そして、父親としてどう子どもと接したら良いかと考えていたので迷うことなく受けることにしました。
親子の間の問題解決のための基本的な事を分かち合いたいと思います。それは「親業の三つの柱」と呼ばれています。

1.聞くこと

子どもが心を開いて本当の気持ちを親に話せるように、何か問題を持って悩んでいるときに、自分で解決できるように手助けをする。

「傾聴」はカウンセリングの基本でもあります。人間はなかなか素直に自分の気持ちを表に出さないものです。子どもも例外ではありません。また、子どもはいろいろな危険信号を出しているものです。
子どもの心を開かせ、本当の気持ちを吐き出させることがとても大切になります。そうした接し方を親業訓練では「能動的な聞き方」と呼んでいます。親も子も、ありのままの自然な話し合いが行われるならば、しっかりした心の架け橋を築くことができると思います。

2.話すこと

親が子どもに自分の気持ちや考え方を率直に伝えることです。

親は子どもの気持ちを聞くだけでなく、子どもに伝えたいことをたくさん持っています。しかし、一方的に押しつけてしまっては心の扉を閉じてしまいます。
子どももひとりの人間として自尊心を持っています。そんなことが続けば愛情から生まれた「思い」を子どもは理解しようとしなくなるでしょう。
そこで親が自分の気持ちを率直に伝え、しかも子どもが心を開いて聞くような接し方が大切になります。そうした方法を、親業訓練では「私メッセージ」を送ると呼んでいます。
私たちは伝える言葉の主語に「私は(が)」をつけた言葉をつける事が多く、実は、案外「あなたは(が)」という主語がつけられた言葉を伝えている事が多いのです。

3.対立を解く

子どもの欲求と親の気持ちが折り合わないような場合、どのように解決するか。

子どもはそれなりに独立した欲求をもっています。そこで、親がこうあるべきだと思うこと、子どもがこうしたいと考えることが対立することがよくあります。
こうした場合、親が一方的に意見を押しつけるのではなく、また子どもの欲求にいつも応じてしまうのでもなく、対立している問題を親も子も納得できるように解決していかなければなりません。こうした問題解決の方法を「勝負なし法」と呼んでいます。
どちらも勝つことなく、一緒に問題を解決しようとする姿勢が大事です。

より良い親子関係、人間関係を築いてゆきましょう。