久保 司 牧師

「驚くばかりの恵み」Amazing Grace  :  久保 司 牧師
 

事実、あなたがたは、恵みにより、信仰によって救われました。
このことは、自らの力によるのではなく、神の賜物です。

新約聖書エフェソの信徒への手紙2章8節(新共同訳)

世界的に有名な「アメイジング・グレイス」の作詞者ジョン・ニュ―トンは、黒人奴隷を輸送する「奴隷貿易」に携わり富を得ていました。拉致された黒人への扱いは家畜以下であり、船内の衛生環境は劣悪でした。このため多くの者が輸送先に到着する前に死亡したといわれています。そんな彼に転機が訪れたのが1748年5月10日、22歳の時でした。

船が嵐に遭い浸水、転覆の危険に陥ったのです。彼は必死に神様に祈りました。彼が心の底から神に祈ったのはこの時が初めてだったそうです。

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すると流出していた荷物が船底に空いた穴を塞いで浸水が弱まり、運よく難を逃れたのでした。ニュートンはこの日を精神的転機とし、心から悔い改め、聖書や宗教的書物を読むようになりました。

1755年、彼は船を降り神学を学び牧師となります。そして1772年「アメイジング・グレイス」が作詞されたのです。歌詞中では、黒人奴隷貿易に関わったことに対する悔恨と、それにも拘らず赦しを与えて下さった神様の愛に対する感謝が歌われています。

私たちもアダムから始まった罪と自らの罪によって神様の栄光を受けられなくなってしまいました。しかし、神様の一方的な恵みにより、死から命へと引き上げていただきました。

神様は、罪によって死の定めを負ってしまった私たちをキリストと共に生かして下さいました。私たちが救われたのは、ただ神様の恵みによるのです。

恵みとは、賜られるに値しない罪人である私たちが、神様の愛によって賜った賜物の事です。 一方的な慈愛。憐みにより賜ったのです。これは救いの奇跡であり、永遠に変わることがない恵みです。

神様にとって、私たちはかけがえのない大切な存在なのです。それは御自身の命に代えても良いと思うほどです。

神様は、自分の罪の故に罰せられ、滅ぼされても仕方なかった私たちに救いの道を開いて下さいました。私たちが救われたのは、実に恵みにより、信仰によるのであり、その信仰すら私たち自身から出たものではなく、神様の賜物なのです。

ですから、神様にいつも感謝しながら生きるべきです。神様の私たちに対する一方的な愛によって、生かし、祝福を与えて下さった恵みを心から感謝しながら生きるのです。