牧師便り

そっと優しく  :  青木 牧師

初めまして。この度、小金井教会の牧師として赴任いたしました、青木泰樹(あおきやすき)と申します。フィリピンに留学していたため、1年半振りの現場復帰となります。初心に立ち返り、学んだことを一つでも多く生かすことができればと思っています。

私が想像していた以上に、フィリピンでの留学生活は大変なものでした。出国準備中の2009年3月初旬に家族全員がインフルエンザで寝込んだことが、大変な生活の幕開けでした。渡比後につきましてはまた皆さんとのお交わりの中でお話させていただく機会があると思いますが、私たち家族にとってのフィリピンにおける1年半の経験は、「風の吹くところにある灯。危険が迫っていて今にも滅びそうなこと」(『大辞泉』より)という「風前の灯火」というたとえがピッタリだったと思います。私個人としては、不信仰な自分に向き合わされる毎日でした。世界各国から来ていた多くのクラスメートたちが喜びと感謝に満たされながら勉強している一方、私は不安と恐れの中で苦しむ日々でした。最初は不安と恐れの原因は自分の英語力の不足だと思っていましたが、時間が経つにつれそうではないことに気づかされました。

 

わたしは、自分の置かれた境遇に満足することを習い覚えたのです。

新約聖書・フィリピの信徒への手紙4章11節(新共同訳)

と力強く語り、自分の人生を完全に神様に委ね、不安と恐れから解放されている使徒パウロの信仰とは程遠い自分の信仰の状態が最大の原因であることに気づかされたのです。

しかし、神様は今にも消えてしまいそうな灯火を守ってくださる方であると、聖書は証ししています。

 

正義を勝利に導くまで、彼は傷ついた葦を折らず、
くすぶる灯心を消さない。

新約聖書・マタイによる福音書12章20節(新共同訳)

彼とはイエス・キリストです。たとえ、私たちが傷つき、ボロボロになり、希望を見失い、燃え尽きてしまったかのように見える時でも、神様は決して見捨てることはありません。無神経に乱暴に扱うことなく、まるで傷ついた葦を折らないかのように、くすぶっている灯心を消さないかのように、ボロボロの私たちにそっと優しく触れ、包み込んでくださるのです。「風前の灯火」が決して消えることのないように、程よい風と油を与え続け、燃え続けさせてくださるのです。

新しい任地に赴任し、相変わらず不安と恐れの中にいる私ですが、そっと優しく包み込んでくださる神様と共に献身していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。